本書では、製品の音声自己診断機能について主に説明します。
音声自己診断とは、機器のスピーカーとマイクを検査する機能であり、エコー自己診断とも呼ばれます。動作原理としては、機器がスピーカーから音声を再生し、マイクで集音することで、音声デバイスが正常に動作しているかを判定します。主に機器の音声デバイスの動作確認を遠隔で行う際に使用されます。以降のセクションでは、産業用機器における音声自己診断の実施方法を詳しく解説します。
i12、i11、i16V、i18S、i20S、i30、i32V、i33V、i16SV、i10SV、PA3、PA2S。
機器はスピーカーから短い音声ファイルを再生し、マイクで音声を集音して受信率を確認します。測定値が既定の閾値を超えた場合、診断合格と判定され、閾値を下回ると不合格となります。動作原理を下記の図1に示します。
図1 音声自己診断原理図
音声自己診断は、機器の遠隔点検で広く活用されています。点検時間の短縮と効率向上のため、放送音声が停止した場合や音声が突然途絶えた際に、管理者は監視室から機器の遠隔自己診断を実行できます。
図2 音声自己診断適用シナリオ
① インターホンシリーズ機器(本書ではi12を例として使用)、PoEスイッチ(または直流電源)、Yunyiサーバーを用意し、機器をスイッチに接続します。
② 設定用PCとサーバーを用意し、PCを同一のスイッチに接続し、機器とPCのネットワーク疎通を確保します。
① i12機器、サーバーをスイッチに接続し、設定用PCも同一スイッチに接続して、相互のネットワーク接続を確保します。接続構成を下記の図3に示します。
図3 機器とPCの接続図
エコー自己診断を実行する方法は複数存在します。各手法を以下に詳しく説明します。
アクティブURIとは、遠隔操作端末からHTTP GETリクエストを送信し、機器の内蔵HTTPサーバーがコマンドを解析・応答することで、機器の遠隔制御を実現する方式です。
(1) 自己診断実行形式:http://device_ip/cgi-bin/ConfigManApp.com?key=ECHO_TEST;
① device_ip:診断対象機器のIPアドレス(例:172.18.8.15);
② 実行結果:スピーカー・マイクが正常に接続されている場合 success、断線または故障している場合は Failure が表示されます;
(2) 操作例:ブラウザに上記URLを入力します。音声デバイスが正常な場合、success が返されます(図4参照)。
図4 アクティブURI方式 音声自己診断図
HTTP APIは、第三者アプリケーションや管理システムと連携するためのインターフェースです。機器はHTTPサーバーとして動作し、http://ip/xmlservice にてHTTP APIを提供します。外部システムはHTTPクライアントとして、XML形式のデータを含むPOSTリクエストを送信します。
HTTP API リクエスト形式:
(1) クライアント → サーバー リクエスト:
(?xml version="1.0" encoding="UTF-8" ?)
(FanvilPhoneExecute beep=”yes” )
(ExecuteItem>URI="cmd:echo_test"(/FanvilPhoneExecute)
cmd:audio_play:エコー自己診断の実行コマンド;
(2) サーバー → クライアント 応答:
(?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?)
(FanvilPhoneExecute)
(ExecuteItem>URI="cmd:echo_test")
(RetCode>0)
(info)
(![CDATA[success]])
(/info)
(/FanvilPhoneExecute)
(3) 実行結果:音声デバイス正常時 success、接続不良・故障時 Failure;
(4) 操作例:PostmanまたはApiPostを使用し、http://device_ip/xmlservice へPOSTリクエストを送信します。リクエスト内容を正しく入力し“送信”をクリックすると、診断結果が返却されます(図5参照)。
図5 HTTP API方式 音声自己診断図
タイムプラン設定に音声自己診断のタスクを追加できます。設定した日時・時間帯になると、機器が自動で自己診断を実行し、実行結果をアクションURLへ送信します。
(1) 機器のWeb管理画面にログインし、“インターホン設定” --- “タイムプラン” --- “タイムプランルール”より、診断タスクを作成します(図6参照):
① 実行種別:“音声自己診断”を選択;
② 実行時間:任意の時間帯を選択し、当該時間に自動診断を実行します。
図6 タイムプラン方式 音声自己診断図
(2) 設定保存後、タイムプラン一覧に新規ルールが追加されます。指定の時間に到達すると、機器が自動的に音声自己診断を実行します。
SIPメッセージ方式は、公衆ネットワーク環境で使用されます。サーバーよりメッセージ型アクティブURIコマンドを送信し、機器はMESSAGEリクエストに対し 200 OK で応答します。その後機器は診断結果を通知するメッセージをプラットフォームへ送信し、プラットフォームも同様に 200 OK で応答します。
(1) サーバーに機器アカウントを登録します。
(2) Yunyiサーバーを例に、Web画面へログインし、“自己診断タスク” --- “追加”を選択し、タスクを作成します。
(3) タスク作成後、選択して実行をクリックします。音声デバイスが正常接続されていればタスク完了、断線・故障がある場合は異常表示となります。サーバー画面の“自己診断結果”から、実行履歴を確認できます。
図7 SIPメッセージ方式 音声自己診断図
(4) 機器のパケットキャプチャで診断成否を確認することも可能です。診断開始前に機器Web画面の“システム” --- “補助ツール” --- “ネットワークパケットキャプチャー”を開き、“開始”をクリックします。
図8 機器パケットキャプチャ図
診断完了後、Web画面で“停止”をクリックし、Wiresharkでキャプチャファイルを開いて「sip」でフィルタリングします。MESSAGE内に“Success”が含まれる場合は診断合格、“Fail”または“Failure”が表示される場合は不合格となります。
図9 パケットキャプチャ結果図
運用中に音声自己診断が失敗する場合があります。要因は複数考えられるため、下記の項目を確認してください。
(1) 接続状況の確認
診断失敗の際は、スピーカーとマイクの接続を確認してください。スピーカーが未接続の場合は基本的に失敗となりますが、周囲が騒がしいと正常と誤判定される場合があります。マイクが未接続の場合は必ず診断失敗となります。
(2) 付属品の確認
接続は正常でも診断が失敗する場合は、スピーカー・マイクの故障有無を確認してください。機器に異常が見られない場合は、技術サポートへお問い合わせください。
(3) 周囲環境の静音確認
本診断は、機器が1kHzの音信号を再生・受信する仕組みです。周囲に1kHzの周波数音が存在すると、検知精度が低下します。例えばスピーカーが故障していても、周囲の雑音により正常と誤判定されるケースがあります。